転職ノウハウ・コラム

【移住アドバイザー経験者が語る】移住先を決めたら選ぶ住まいのこと~賃貸をお勧めする理由~ 2024/8/19版

自然豊かなところで、のんびりと暮らしたい!日々、満員電車に揺られ、疲れてやっと帰宅した部屋がもっと広かったら、もっとくつろげる家だったら良いのに・・・。

首都圏から移住を考えている方の中には、都会生活の疲れや広い住まいへの憧れが移住の理由として挙げられることが多くあります。

移住先で憧れの古民家を購入し、庭の畑を耕しながらのんびりと暮らしたい!と、夢を抱くのは素敵なことだと思います。新しい道へ進むなら、理想的な暮らしを送りたいという期待はよくわかります。しかし、初めての土地での住居の購入はリスクが伴います。そこで、移住アドバイザーの視点から初めての住まい選びについての考え方についてお伝えします。

賃貸暮らしのメリット・デメリット、とは?

賃貸のメリットは、物件や環境に不便を感じたり、気分が変わった時に、自分の意思やタイミングで住まいを変えられることです。

例えば、今よりももっと利便性を重視したエリアに住み替えたい、子どもが生まれたので広めの部屋があるマンションに移りたい、勤務先が変わったので職場の近くに引っ越したいなどライフスタイルによって、住まいを柔軟に検討出来ることが最大のメリットです。また、購入に比べて、初期費用が安くなることもメリットです。賃貸であれば、購入では高額になる利便性の高い駅近物件も住める可能性が高いという利点があります。

筆者が賃貸暮らしをしていた時のことです。排水溝の詰まりや敷地内の蜂の駆除など、自力では解決が難しい問題が起こる度に大家さんがすばやく対応してくれていました。

一方、賃貸のデメリットは、家賃の支払いが勿体なく感じられることや、購入と違い資産にならないことです。内装の変更等、自分好みにできないというのもデメリットでしょう。

また地方は、首都圏に比べて物件数が少なく、選択肢が少なくなる可能性があります。しかも、家賃が劇的に安いわけではないというのが実情です。住むエリアや賃貸物件の築年数、設備やセキュリティにもよるため抽象的な表現となりますが、首都圏と同じぐらいの金額で一部屋多いぐらいのイメージです。家賃3万円以下の格安物件も探せばありますが、建物が古い、不便なエリアにあるなどそれなりの理由があることが多いです。大学の近くには、学生の需要を見込んだ単身者向けの格安アパートが多い傾向にありますが、深夜まで大騒ぎしている学生に悩まされていた友人の話もありますので、遮音性や部屋の作りを確認しておくと良いでしょう。

賃貸住宅であっても自治会費の支払いや自治会への参加が必要な場合もあります。あらかじめ貸主に確認しておきましょう。筆者が過去に検討したアパートは、毎月の家賃+自治会費の支払いが必要でした。友人が住んでいたアパートは、自治会の参加が必須で、会議への参加、広報誌を各部屋に配布をするなどの活動を行っていたそうです。

地方暮らしは、大人一人に車1台所持することが望ましいため、駐車場の費用(家賃に含まれている場合もある)や何台まで駐車が可能か確認しておく必要があります。駐車場がない、もしくは足りない場合は、近隣の駐車場を契約する必要があるため、月極駐車場等が近くにあるかどうかも調べておくと良いでしょう。

住まい購入のメリット・デメリット、とは?

購入のメリットは、なんといっても資産になるということでしょう。自分が好きなように内装や部屋をカスタマイズできることも大きな魅力です!画鋲で穴をあけようが、釘を刺そうが自分の城のため、賃貸とは違い自己責任となり、問題ありません。注文住宅を選べば、理想の形にできる可能性が更に広がります。

中古住宅であれば、新築住宅よりも安く手に入る可能性があります。市町によっては、「空き家バンク制度」や「リノベーション費用」の助成金があることもありますので、移住検討地の移住サイトや市町の移住担当者に確認しておくと良いでしょう。

購入のデメリットは、簡単に住居を変えられないことです。毎月の家賃がないことは一見メリットに感じますが、頭金の支払いなど賃貸に比べて初期費用が高くなります。住宅ローンの返済が長期にわたる場合が多く、生活への負担も大きくなります。火災保険・地震保険に加入をしておいた方が安心なため、賃貸に比べて保険費用も上がりますし、固定資産税の支払いも定期的にあることも頭に入れておいた方が良いでしょう。

しかも、建物はだんだんと傷んできます。外壁の塗装や雨漏りなど、メンテナンスにはかなりの金額がかかります。中古住宅の場合は、水回りや雨漏り、床の浮きなど購入前に確認が必要です。価格に惹かれて購入したものの、水回りの修繕で三桁かかった!というのはよくある話です。築年数がある程度経っている中古住宅は、耐震の心配もあります。隙間風が入ってくるような家は、冬は寒さが厳しくなり、虫の侵入にも覚悟が必要です。今まで見たことのない大きな虫が家の中に侵入してくることもあり得ます。

一戸建てを購入した場合は、自治会への参加を求められる可能性が高くなります。自治会費や活動内容は自治会ごとに異なりますが、一般的に、共同ゴミ置き場の清掃、回覧板の回覧、子ども会や地域イベントのお手伝い、ドブ掃除や地域の草刈りなどがあり、活動内容は多岐に渉ります。

若者が少なく高齢化が著しい地域の場合、消防団への加入や地域の祭りへの参加を求められる可能性もあります。筆者の住む地域では、十年程前まで冠婚葬祭のお手伝いを近所の方々がしていたようです。地域によっては、未だにこういった風習が残っている場合があります。

無くなった風習もありますが、今でも自治会の役員は数年に一度回ってきます。役員になった場合は、定期的に会議へ参加するだけではなく、係ごとの活動(会長、副会長、経理、広報等)もあります。筆者の住む地域は、ここ数年で子育て世帯が増えたため、働き盛り世代の提案により、毎年行っていた真夏の草刈りを業者に依頼するように変更されました。活動が一つ減り、ホッとしています。

自治会への参加は、正直大変なこともあります。しかし、参加したことがきっかけで近隣住民と交流するきっかけになったという声もありますので、自治会等への参加については、デメリットと感じるかメリットに感じるかは人それぞれだと思います。“遠くの親戚より近くの他人”と、どこがで聞いたことがありますが、近所の方の顔を知っていた方が何かあった時に安心かもしれません。

【実例紹介】~住まいの理想と現実のギャップ~

とある地域へ移住した、庭付き中古住宅一軒家暮らし(賃貸)の夢を叶えた女性の話です。

ご縁あって移住のタイミングで見つけた住まい。
庭には果物の木まで植えてあり、思い描いていた理想の暮らしに胸を躍らせていたそうです。
しかし実際に暮らし始めると、部屋の隙間から無数のムカデが侵入してきて、安心して眠れない日々が続いたんだそう。家全体湿気が多くカビ対策も必要で、掃除が大変だったと言っていました。

また、庭には猿や台湾リスなどの動物が来ることもあり、とても怖い思いをしたそうです。すぐに生い茂ってしまう庭の雑草の草刈りがけっこうな重労働で、疲れ果ててしまったそうです。

理想と現実はかなり違い、早々に駅近くのアパートへ引っ越しをしたとのことでした。

今回のケースは賃貸だったため引っ越すことができましたが、購入した場合は、こういったトラブルも自力で解決し、課題を乗り越えていかなければならなかったでしょう。

移住先での住まいの選択は慎重に

移住はゴールではなく、スタートです。住まいが思っていたよりも不便だったり、地域住民との相性が悪かったり、建物に問題がある可能性もあります。

購入の場合は、賃貸とは違い“簡単には引っ越しができない”ということが、最大のデメリットであるとお分かりいただけたのではないでしょうか。住まいに不満抱えながらローンを支払う生活は、身体的に負担がかかることが想像できます。たとえ築1年未満でも、一度入居をすれば中古物件となり価値が下がり、売却時に損をする可能性もあります。

土地勘がない場所で暮らすことは、冒険のようなものです。まずは、利便性の高いエリアの賃貸暮らしから始めることをお勧めします。

実際に新しい場所で生活を始めると想像と異なることがたくさんあるでしょう。生活を通じて地域や文化を知り、コミュニティに参加しながら、理想の住まいを自分の足で探すことが大切です。どうしても家を購入したい場合は、季節を変えて何度も地域に足を運び、地域住民と親しくなるよう努めましょう。移住相談窓口や地域住民、不動産業者などからアドバイスを受けることで、より具体的な情報が得られる為、窓口の活用をおすすめします。

今回は、移住先での最初の住まいを慎重に検討していただくために賃貸をお勧めする理由をお伝えしました。ステップを踏んで、最終的には理想の住まいが見つかることを願っています。

  

Achieve Career(アチーヴキャリア)は、静岡県・愛知県への移住時の転職をサポートしております。地場の求人媒体社である株式会社アルバイトタイムスが運営し、3,400案件を超える豊富な案件ラインナップを含め、移住時の支援金に関する情報提供もさせて頂いております。又、静岡県が推進する「ふじのくにに住みかえる推進本部」構成員として、国内・海外から静岡県への移住者の転職サポートを行っております。


移住時の転職に関しては「移住アドバイザー・藤原啓之(ふじわらひろゆき)」までお問合せ下さい。

【コンサルタント紹介】
藤原啓之 https://achieve.atimes.co.jp/career/consultant/fujiwara
お問合せ 0120-887-708
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執筆者:齋藤綾(Aya Saito)

静岡生まれのUターン者。社会人2年目に上京し、「静岡県移住相談センター静岡窓口」で移住コーディネーターとして3年間務めた後、本業を持ちつつ社会的課題をミッションとする団体の広報やサポートを行うパラレルキャリア。旅行と音楽、季節の手仕事が好き。

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