【移住アドバイザー経験者が語る】移住前に知っておきたい静岡県の災害と防災について 2024/10/30版
静岡県は、美しい自然があり、豊かな食の恵みを存分に感じられる県です。
しかし自然は、恵みをもたらす一方で、時に災害を引き起こし、猛威を振るうこともあります。そのため、自然災害に対する備えは欠かせません。
移住を検討する際に、災害や防災について知識を持ち、備えることが大切です。本記事では、災害リスクを最小限に抑えるためのポイントを解説します。
地震→日本中どこでも災害が起きる可能性がある
日本列島は、ユーラシアプレート・北米プレート・太平洋プレート・フィリピン海プレートに接しており、「地震の巣」と言われています。世界で発生している地震の10%が日本で起きているのです。
地震は、ある日突然発生します。
2024年元旦「令和6年能登半島地震」が発生したことは記憶に新しいと思います。9月には豪雨による水害によって二重被災となり、復興への道のりは厳しいものとなりました。
同年8月には、日向灘を震源とする宮崎県南部で地震が発生し、最大震度6弱を観測しました。また、南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」が発表され、社会生活に影響を及ぼしました。スーパーやドラッグストアからペットボトルの水や米が売り切れてしまうなど静岡県内にも影響があり、混乱している様子がうかがえました。
―地震の歴史を振り返ってみましょう。
1995年に発生した「阪神・淡路大震災」は、充分な被害想定ができていなかったそうです。しかし、国や県民にとって想定していない規模の震度7もの巨大地震が観測され、大災害に見舞われました。
2011年に東北地方で発生した「東日本大震災」。この地震も国が想定していなかった「想定外」の地震でした。
このように、想定していない場所や規模の地震は起こりうる可能性があり、予想を遥かに超える規模の震度が観測される可能性もあります。
静岡県の災害リスクについて
静岡県は、前回の巨大地震からすでに170年経過しており、いつ巨大地震が発生してもおかしくない状態です。そのため静岡県では、1976年に発表された「東海地震説」以降、東海地震に備えるために様々な防災対策を実施しています。
津波対策として、防潮堤の建設や津波避難タワーの設置、命山の整備等を行っています。また、静岡県地震防災センターへの校外学習などでの見学や防災学講座を実施したりし、県民に防災知識を高めてもらう活動を行っています。
「南海トラフ巨大地震」は、最大震度7、想定される津波高は最大30メートルと言われています。宮崎県から静岡県にかけて広範囲のため、全国で30万人が被災するのではないかとも言われています。
静岡県民の多くは、いつか必ず地震が来ると意識しながら日々を過ごしている印象です。例えば、小学校の座布団は、防災ずきんになる仕様なのです。防災訓練では、防災ずきん型座布団で頭を守ります。徒歩通学の場合でもヘルメットをかぶって通学をしている小学校もあります。毎年必ず実施される学校の避難訓練では、防災ずきんをすばやく被って机の下にもぐり、先生の指示で校庭まで避難をした記憶があります。
災害は、地震だけではない
静岡県には、富士山があります。美しい姿は、世界中の人を魅了しています。静岡県民である筆者も、富士山を見る度にとても幸せな気持ちになります。
しかし、美しい富士山は、自然の牙を剥く可能性がある活火山なのです。
また、温泉地として有名な伊豆半島にも、活火山である伊豆東部火山群があります。豊かな温泉は、火山の恵みなのです。気象庁が指定している活火山は、24時間体制で常時監視をしています。火山状況に変化があれば、警報や予報が発表されることになっています。
近年増えている災害といえば、水害をイメージする方も多いのではないでしょうか。
静岡県は、台風の上陸数が全国で4番目に多く、台風の影響を受けやすい土地です。また、年間降水量の多い県でもあります。
ここ数年、雨の降り方が変わってきているため、水害が起きやすい傾向にあります。今まで災害に見舞われなかった場所も、災害に見舞われる可能性もあるため、注意が必要です。
静岡県内も、2022年9月に発生した台風第15号による線状降水帯の影響により、県内各地で床上浸水や床下浸水、断水等多くの被害がありました。筆者の暮らす静岡市も甚大な被害がありました。災害は他人事ではない、明日は我が身だと感じた出来事でした。
災害リスクを減らす① 移住先選びで気をつけるポイント
豊かな自然が育まれてきた場所は過去にも災害が発生しており、過去のデータを見ると歴史は繰り返されていることがわかります。
例えば、移住検討地の市町作成のハザードマップ(市町公式サイトを参照)や静岡県の防災アプリ等を見て地域を選ぶのが良いでしょう。ハザードマップでは、災害の被害想定や避難場所を知ることができます。住まいの地域だけではなく、勤め先や通勤ルート、お子様がいる方は学校や通学ルートも危険個所や避難場所等を調べておきましょう。
津波が到達する恐れのある災害リスクの高いエリアに住みたい場合は、津波避難タワー等、避難できる場所の確認も移住前に必ずしておきましょう。避難訓練のつもりで、実際に現地を歩きながらシミュレーションしたり、地域住民に過去の災害や地域の防災対策について聞いてみることをお勧めします。
筆者の暮らす静岡市には、大小合わせていくつもの川があります。
1974年に発生した「七夕豪雨」では、歴史に残る大きな被害が市内各地でありました。そのため、現住まいを両親が購入検討した際、近所の方に当時の被害状況を尋ね、「比較的被害が少なかったエリアであることがわかり、住宅の購入を決めた」とのことでした。
しかし、近年の雨の降り方は当時の想像を遥かに超えています。河川が氾濫危険水位に達し、住宅の2階へ避難したこともありました。幸いにもぎりぎりのところで氾濫せず、難を逃れ、胸をなでおろしました。
市町作成の「ハザードマップ」や「防災マップ」の被害予測情報よりも大きな災害が生じることもあります。ハザードマップで確認をするだけではなく、移住検討地の住民から話を聞いたり、被害想定以上のことが起きうる可能性を念頭に置き、移住の計画を立てると良いでしょう。
静岡県全域を網羅した「静岡県地理情報システム(GIS)」でも、県内の各種災害の危険性を把握することができますので、参考にしてみてください。
災害リスクを減らす② 日々の暮らしで心がけること
阪神・淡路大震災で亡くなられた方の84%が家屋の倒壊や家具の下敷きによるものだったそうです。なぜ家屋の倒壊が多くおきたのか、理由として1981年以前の「旧耐震基準」の「既存不適格住宅」が多かったことが理由です。
古民家や中古住宅を検討している方や、現在の住まいが「旧耐震基準」の場合は、耐震補強することをお勧めします。補強工事等リフォームについては、市町によって補助金がある場合もありますので、担当課へ相談してみると良いでしょう。
また、家の中を見渡し、家具や家電製品の転倒防止対策がされているかも今一度確認しておきましょう。静岡県内では、家具等の転倒防止費用について助成制度を設けている市町もあります。
住まいや職場・学校の避難場所や避難ルートをハザードマップや防災マップで確認しておくことが大切です。いつ・どこへ・どのように行動をすれば良いか考えておく、家族がいる方は家族と災害時の対応について話し合っておきましょう。毎月1日と15日は、災害伝言ダイヤル「171」の体験ができる日です。災害時は携帯電話がつながらなくなる可能性が高いため、「171」を体験しておくと良いでしょう。
被災した場合、市町が指定する避難所や地域の集会所などで生活するか、もしくは自宅での避難生活を余儀なくされることもあります。そのため、7日分(21食)の備蓄を準備しておきましょう。また、水を1人1日3ℓ必要とした場合、7日分で21ℓ分用意する必要があります。非常用トイレも用意しておくと安心です。リスク管理として、地震保険に加入しておくこともお勧めします。
静岡県で災害を学べる場所「静岡県地震防災センター」
日本列島どこにいても、絶対的な安心はありません。
いつか来るかもしれない災害のために、知識を深め、日々の暮らしの中で防災意識を持つことが大切です。
阪神淡路大震災での救助の9割が、家族や近隣の方だったと報告されています。移住先でも地域の人とのつながりを大切にしておくと良いでしょう。
移住先での豊かな暮らしを実現するために「理想の暮らし+災害・防災」を併せて考え、移住先を検討することをお勧めします。
今回取材した『静岡県地震防災センター』は、地震・津波・風水害・火山について学ぶことができる施設です。防災知識を身に着けるために見学してみてはいかがでしょうか。※VRによる見学もできます。
◆静岡県地震防災センター
https://www.pref.shizuoka.jp/bosaikinkyu/sonae/earthquake/bosaicenter/index.html
◆静岡県GIS
https://www.gis.pref.shizuoka.jp/
◆静岡県防災(スマートフォンアプリ)
https://www.pref.shizuoka.jp/bosaikinkyu/bosaijoho/bosaiapli/1030179.html
Achieve Career(アチーヴキャリア)は、静岡県・愛知県への移住時の転職をサポートしております。地場の求人媒体社である株式会社アルバイトタイムスが運営し、3,400案件を超える豊富な案件ラインナップを含め、移住時の支援金に関する情報提供もさせて頂いております。又、静岡県が推進する「ふじのくにに住みかえる推進本部」構成員として、国内・海外から静岡県への移住者の転職サポートを行っております。
移住時の転職に関しては「移住アドバイザー・藤原啓之(ふじわらひろゆき)」までお問合せ下さい。
【コンサルタント紹介】
藤原啓之 https://achieve.atimes.co.jp/career/consultant/fujiwara
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執筆者:齋藤綾(Aya Saito)
静岡生まれのUターン者。社会人2年目に上京し、「静岡県移住相談センター静岡窓口」で移住コーディネーターとして3年間務めた後、本業を持ちつつ社会的課題をミッションとする団体の広報やサポートを行うパラレルキャリア。旅行と音楽、季節の手仕事が好き。