【浜松市中山間地域編】静岡移住、本格的な自然で子育て&森のようちえん 2025/10/29版
地方だからこそできる、本格的な自然の中で子どもを育てたい。
首都圏からアクセスが良い静岡県内にも、そんな希望をかなえられるエリアは多くあります。
今回は新幹線で東京・大阪から1時間半の、移住者が県内で最も多い浜松市の中山間地域で子育てする移住者の声と、気になる「森のようちえん」について取り上げます。
今回お話しを聞いたのは、首都圏から浜松市天竜区の春野(はるの)に移住したママさん。春野は浜松の中山間地域で人気の移住地の一つで、40年以上前から移住者を受け入れてきた実績があるエリアです。今回は中山間地域担当の井上移住コーディネーターにその方のお宅へ案内してもらいました。

(清流と名高い気田川が流れている) (春野のシンボル的な日本一の天狗面)
東京・大手町から春野町へ~豊かな暮らしを求めて~
取材をした春野に埼玉県から移住したママさんは、もともと東京大手町の商社で働いていた頃にフェアトレードに興味を持ったことがきっかけでオーガニック検定を受けたりパーマカルチャーを勉強したりと、移住前から自然に囲まれた暮らしを楽しみにしていたそうです。
ご縁があって春野に移住しまもなく一人目の子が生まれ、現在3人のお子さんたちは小学生になっています。
取材した日は、お子さんたちはお友達のお宅に遊びに行って不在でしたが、木をふんだんに使っている古民家と目の前に広がる畑や広大な敷地でお子さんたちがのびのびと暮らす様子が伺えます。
畑には多様な季節ごとの作物がたくさん。自給自足や、身近にあるものを活かす豊かな暮らしがありました。
春野での子育てについて、気になることをQ&A方式でまとめました。
Qこの地域で子育てして良かったことは?
A環境的に「静かにしなさい」とか「これやったらダメ」など言う必要がなく、子どもがのびのびとやりたいことをやりたいようにできます。
地域には人が少ないから皆が顔見知りで人との距離が近く、子どもたちはいろいろな世代の人に関わり、人に対して警戒心がないように感じます。親も、子どもを地域の皆に見守ってもらっている感覚です。

(広い敷地内の畑へ散策するママと井上コーディネーター) (土間の玄関に並んだお子さんたちの草履)
Q全校で50名に満たない小規模校な小学校、お子さんたちはいかがですか?
A 小規模校は少人数だからこそ、一人一人が授業で自分の意見を発表する機会が多く、また行事でも出番が多く、様々な役割を担うため自然に表現力やコミュニケーション能力が鍛えられます。さらに教員の目が個々の児童に届きやすいと感じています。
少人数だと集団行動で培われる社会性が育つのか心配という声も聞かれますが、少人数だからこそ一人一人が同学年の児童だけでなく違う学年の子どもや、あらゆる世代の大人たちとのコミュニケーションを取る機会があり、相手の立場に応じた対応をする経験が得られやすいメリットがあると言えます。
Q この地域ならではの特色はありますか?
地域との繋がりは濃いです。地域住民の協力で地域に親しむイベントが行われています。
1・2年生は学区内にあるお宅の土地で栗拾い、3・4年生は全国茶品評会で数々の賞を受賞している町内の茶農家さんにてお茶摘み、5・6年生は田植えや稲刈りと、季節ごとでその地域ならではの体験をしています。7月初旬には、春野町の清流「気田川(けたがわ)」で全校児童が川あそびをする日があります。
とても楽しそうでした!
Q お稽古事など、何かされていますか?
上の子は週1回、浜名区の浜北エリアでボルダリングに通っています。
真ん中の子は地元でキックボクシングを習っているんですよ。二俣(ふたまた・天竜区の山の入り口の街)まで出れば、野球やサッカーチームにも入れます。
私鉄の遠州鉄道沿線から近い浜北エリアへは車で4、50分ほどです。浜松市の市街地へ通勤している住民も多く、片道1時間はそこまで遠いと感じる範囲ではないですね。
この送り迎えの時間が実は、親子でじっくり話せる貴重な時間になっているそうです。他の家族がいて家ではなかなか話せないことも、移り行く景色を見ながらまとまった時間がとれる車の中の空間では素直に話せて、落ち着いて聞けるそう。これは車を使う生活をしている人ならではのメリットかもしれないですね!
ちなみにこの小学校に隣接した公立幼稚園では、近く方が畑を貸してくださっているため園児はお芋堀りなどで土地の恵みを体験しています。地域住民と一緒にカレー作りなどの交流もあるそうですよ。地域の皆で子どもたちを見守り育てている様子が伺えます。
森のようちえん(野外保育・自主保育)
実際に移住相談を受けていると、このような山間部に住みたい方も多くいる一方、いきなり本格的な田舎に移住するのはハードルが高いが子どもには自然の中でたくましく育つ経験をさせたい、そんな移住希望者の声も少なくありません。
そういった方々を受け入れる野外保育や自主保育、森のようちえんは全国に広がっています。
浜松にも市街地からほど近い天竜区青谷で、森と山に囲まれ小川が流れる恵まれたフィールドを拠点に、野外保育を通して子どもの身体と心を育む「はままつ森のようちえん森の子どもたち」があります。
訪れたのは少し暑さが落ち着いた10月上旬。
代表の林桃さんのお話しを聞きながら、いつも子どもたちが遊んでいる場所にお邪魔しました。

ここには子どもがザブンと入れる小さな川、多様な植物や果樹、木々があり、まるでワンダーランド!
子どもの頃に山で遊びまわった筆者には大興奮のフィールド。この先には何があるんだろう?と好奇心が刺激され、どんどん足を踏み入れてしまいたくなる森でした。
現在、この園は満3歳児から受け入れています。3歳児以上であれば浜北駅と新都田(しんみやこだ)地区に通園バスが運行しているため、近隣の子だけでなく市内の浜北エリアや三ケ日エリアなど遠方から通っている子もいて、親御さんの中には県外からの移住者もいらっしゃるとのことです。

(園内の木々には秋の恵み。) (子どもたちが集めた様々な枝。これは剣のよう!)
林さんは、幼児期だからこそ大切にしたい、身に付けたい「生きていくための土台の力」が自然体験を通じて養われると言います。でもその力はただ自然の中で子どもを放置していても身に着くものではなく、一人一人の段階に寄り添った教育視点での働きかけが必要とのこと。
自然の中で感じられる五感を通した気づきや「やってみたい心」を見守り、必要な時に寄りそう大人の関わりによって、発育に応じた知識や経験を日々の中で重ね、子どもの「できる」を増やしていきます。
大人が子どもの行動を導くのではなく、子どもの力を信じて見守ることでそれぞれの思いや工夫を見つけることができ、その一瞬一瞬に関わることを大切にしています。
こういった経験から子どもたちは「困った時にヘルプを出せる力」や、「まわりの人を信頼できる力」が育まれます。これらの力は、実は社会に出てから必要なことだとお話しの中で筆者も気づかされました。
遊びと危険は表裏一体 ~自然からリスク回避を学ぶ~
当然ながら、自然には多くの危険もあります。
そのためこの園では大人が見える中で遊ぶ約束ごとがありますが、どうしてその約束があるのかを子どもたちは遊びの中で身をもって知っていくことができます。
子どもたちは楽しい経験の中にも「怖い」「痛い」を実際に体験でき、「自分の命を守る」「自然を傷つけない」「自分たちが遊ぶ場所を守る」ことを理解していけるのです。

(自家製の赤しそジュースを頂きつつ林さんのお話しを伺う) (童心に帰り山に踏み入りたくなる!)
林さんは子どもの頃に屋久島に山村留学した経験があり、自然の素晴らしさだけでなく大変さを身をもって知っていたからこそ、実際にご自身のお子さんを育て始めた時は市街地に住んでいたそうです。
仕事と子育てに奔走していた頃、保育士から普段の子どもの様子を聞かれた時に、当時のお子さんの状況と自然環境であらゆる体験をしてきたご自身の経験との違いに気づき、子ども時代にもっと必要なことをしてあげたいと強く感じたそうです。この想いがこの園を立ち上げるきっかけになったとのことでした。
園児たちは日々各々が興味を持った遊びをしたり、子どもたちで話し合いやることを自分たちで決めたりしています。卒園児と交流できるデイキャンプなどのお楽しみもあるそう。見学は随時受け付けていて、市街地の公園にて0~2歳児の親子で体験するイベントも開催しています。詳しくはホームページをご覧ください。
浜松の山間地での子育て、いかがでしたか?
不便な場所でも、地域の方々の温かい見守りと素晴らしい自然環境の中、子どもたちも親ものびのびと育ちあっていると実感しました。
2026年3月には、浜松の豊かな自然の中での子育てをテーマにしたセミナーを予定しています。(詳細は1月中~下旬頃に公開予定)
浜松の中山間地域の移住のご相談は、随時オンラインや出張相談で受け付けています。
浜松市の最新のイベント情報や移住支援は、浜松市移住促進ホームページはじめようハマライフをチェックしてくださいね!
Achieve Career(アチーヴキャリア)は、静岡県・愛知県への移住時の転職をサポートしております。地場の求人媒体社である株式会社アルバイトタイムスが運営し、3,100案件を超える豊富な案件ラインナップを含め、移住時の支援金に関する情報提供もさせて頂いております。又、静岡県が推進する「ふじのくにに住みかえる推進本部」構成員として、国内・海外から静岡県への移住者の転職サポートを行っております。
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執筆者:宮嶋千恵美(chiemi miyajima)
浜松移住コーディネーター。国家資格キャリアコンサルタント。沼津市、浜松市、静岡市、富士宮市に転職&移住経験を経て、2015年~認定NPOふるさと回帰支援センター内の静岡県移住相談窓口にて移住相談員を務めた後、2020年浜松市へUターン。趣味は移住者との交流、地元食材を使った料理、ドライブ、習い始めたばかりのピアノ演奏。