異業種からITエンジニアになるには?未経験からの転職のコツを伝授 2024/4/25版
近年では生成AIが登場し、ますますテクノロジーが進歩しています。関連するようにITエンジニアの人材ニーズも高まっています。
しかし、求人の存在を知っていても、異業種から未経験でITエンジニアに転職するとなると、戸惑ってしまう人も多いでしょう。専門性を感じ、高いスキルを持っていないと採用してもらえないといった不安があるのではないでしょうか。
本記事では、異業種から未経験でITエンジニアになるために必要なことや転職のコツを解説します。異業種でもITエンジニアで活躍できる理由や転職する際の注意点も紹介するため、参考にしてください。
異業種や未経験からでもITエンジニアになれる?
異業種や未経験からでもITエンジニアになることは可能です。
経済産業省が2019年に発表した「IT人材需給に関する調査」によると、ITに関係する人材需要は、2030年頃まで増加すると予想されています。今後もITの進化は加速するため、ITエンジニアの需要が尽きることはないと予測できます。
IT業界は求人の間口を広げ、ITエンジニアのなり手を積極的に募集しています。異業種や未経験の人が、ITエンジニアになることは決して不可能ではないといえるでしょう。
異業種や未経験からITエンジニアに転職する人の年代も気になるところです。アデコ株式会社が2021年に行った「未経験からのエンジニア転職に関する調査」によると、ITエンジニアに転職した250名の内、20代で転職した人が62%と最も多く、次いで30代が26%、40代は12%という調査結果が出ています。
転職者の平均年齢も29.5歳と若く、営業・事務・販売といった、さまざまな職種からキャリアチェンジしていることもわかっています。30〜40代のミドル層の転職者も一定数存在しますが、基本的にITエンジニアは20代が中心の転職先であることが伺えます。
異業種からでもITエンジニアとして活躍できる理由
ここからは、異業種から転職してもITエンジニアとして活躍できる理由を解説します。転職へのモチベーションに関わる大事な部分のため、しっかり押さえておきましょう。
ITエンジニアの採用で最も重視されるのは「コミュニケーション能力」
レバテック株式会社が行った調査報告「レバテックIT人材白書2024」によると、ITエンジニアを採用する際に最も重視されているのは「コミュニケーション能力」という結果が出ています。
ITエンジニアは、個人が黙々と作業をする印象が強いですが、実はチームメンバーとの連携や、クライアントと足並みを揃えるといった、人間関係に配慮する能力が重要になります。
たとえば、システムにトラブルが発生した際には、それぞれの分野・領域を担当するエンジニア同士が連携し、素早く適切な対応を行わなければなりません。
社内の被害はもちろん、何らかのシステムやサービスを利用しているクライアント・ユーザーがいる場合、大きな被害につながるリスクもあります。そのため、チームメンバー同士や外部とのコミュニケーションを密に取ることが求められます。
また、IT業界では、管理やマネジメントなどを含めた、上流工程を担えるエンジニアが不足している傾向にあります。前職が接客業や営業など、高いコミュニケーション能力を有した人材であるほど、活躍しやすい土壌もあります。
未経験者採用の拡大に伴い、研修・学習環境が充実している
優秀なITエンジニアは、多くの企業からの採用ニーズが高いため、獲得することが難しくなっています。また、「高い採用コストを投じても採用が成功しない」「どこに優秀なITエンジニアがいるのかわからない」といった悩みを抱えた企業も多く、人材獲得がうまくいっていないケースも多々あります。
そのため、新卒や未経験者を採用し、育成に力を入れることで人材不足に対処する企業も増えています。結果として、社内の研修・学習環境が充実し、異業種や未経験でもITエンジニアに挑戦しやすい環境が生まれています。
また、YouTubeやWeb教材などの登場により、誰でも独学でスキルを学べるようになったことも、ITエンジニアへの転職のハードルが低くなった大きな要因といえるでしょう。
異なる視点から価値を発揮できる
「転職」という枠組みで考えずとも、異業種同士の連携(異業種コラボ)は、イノベーションが起こる可能性が高まるといわれています。業界の常識や自社の慣習といった枠に当てはまらない視点は、新たなサービス・プロダクトの創出には欠かせないためです。
実際、テクノロジーが進化し、情報社会化が進んだ現代では、消費者のニーズが多様化し、企業もより細分化されたニーズに応える必要があります。たとえば、IT×農業、家電量販店×アパレルをはじめ、モノのインターネット化を謳うIoT技術も、ある意味で異業種コラボが生んだ製品といえるでしょう。
そうした点から「異業種からITエンジニアになる人材」は、良い意味で業界・会社に染まっていないため、硬直化した社内の空気を破ってくれる可能性があります。前職の知識やノウハウを用いて、新規性のあるやり方やアイデアを提供をすることもあるでしょう。そのため、異業種からITエンジニアへの転職は、価値をもたらします。
異業種からITエンジニアに転職する方法
続いて、異業種からITエンジニアに転職するための具体的な方法を解説します。ITエンジニアに必要な知識やスキルを身につけ、転職活動を成功させましょう。
IT業界への知識をつける
一口にITエンジニアといっても、仕事内容は多岐に渡り、さまざまな職種にわかれています。システムエンジニアやインフラエンジニア、社内SEなどの上流工程を担当するITエンジニアをはじめ、他にもビジネスの根幹を担っているITエンジニアが複数存在します。
まずは、大きく6つにわかれるITエンジニアの職種と業務内容を理解しておきましょう。
職種 | 主な業務内容 |
システムエンジニア | ・SEと略され、業務に関連するシステムやソフトウェアの設計・開発を行う。 ・場合によってはシステム(インフラ)の構築を行う場合もある。 ・企業によって職種が細分化されるが、一般的にはソフトウェア開発を担う。 |
インフラエンジニア | システムやソフトウェアが動作するために必要な基盤(サーバ・ネットワーク・データベースなど)の構築・運用を行う。 ・ネットワークエンジニア、サーバエンジニア、データベースエンジニアなど、分野ごとに細分化されたエンジニアも存在する。 |
社内SE (情報システム部) | ・社内システムの開発・保守を行う。 ・会社によって役割は様々。上流や保守中心で、実際の開発は外注している場合や、実際に内製で開発実務を担う場合も。 ・主にシステムを通して、業務課題や事業課題を解決する役割を担う。 ・IT関連の企画・開発・運用・保守までの工程を一貫して手がけていることも特徴。 |
組込/制御系 エンジニア | ・機械などの「モノ」を動かすことを目的とするソフトウェア開発を行う。 ・対象は、PC・スマホ・家電製品・自動車など多岐に渡る。 ・近年進んでいるIoT製品の企画や設計から携わっているケースもある。 |
その他のIT関連 エンジニア | ・上記のどの業務にも該当しないITエンジニア。 ・データサイエンティスト、テストエンジニア、フィールドエンジニアなど。 ・多方面からIT技術を使って企業やユーザーをサポートする。 |
プロジェクト管理 (PM/PL) | ・企業のプロジェクトに関して、さまざまな施策・対策を講じる。 ・PM(プロジェクトマネージャ)は、品質・コスト・納期の管理をベースに、リスクの予測と対策、必要なリソースやサービスの準備、ステークホルダーとの関係構築などを行う。 ・PL(プロジェクトリーダ)は、品質・納期の管理をベースに、プロジェクトの進行管理、人的リソースの管理、メンバーへの指導などを行う。 |
異業種から転職する場合、まずは顧客や経営層との折衝を行う職種を任されることもあります。ただし、その場合でもITエンジニアについての知識は必要です。また、転職後にミスマッチが起きたり、過剰にギャップを感じたりしないためにも、事前にIT業界の知識をつけておくことが大切です。
経験が無くても始めやすいエンジニアで言えば、システムエンジニアの入り口でもある「プログラマ」「テスター」や、インフラエンジニアの初級とも言える「運用保守」「ヘルプデスク」等が挙げられるでしょう。
必要な知識・スキルを獲得し、成果物を作る
目指す職種に必要な知識やスキルを理解し、習得しなければなりません。
独学でもある程度の知識やスキルを身につけられますが、各種サービスや学習環境を活用し、効率的に学んでいくことも重要です。ITエンジニアの知識やスキルを身につけるために有効なのが、次の3つの方法です。
- IT関連のスクールに通う
- eラーニングサービスを活用する
- 職業訓練を受講する
学習後は、自身の記憶に定着させるために成果物を作成しましょう。高度な技術が求められる職種を目指す場合は、成果物をまとめ、ポートフォリオを用意しておくことも必要です。転職活動の際には、ポートフォリオを提出すると、自身の知識やスキルの証明になります。スクールでの制作課題も、成果物として活用できます。
その他にも、ITパスポートや基本情報技術者試験、応用情報技術者試験といった、IT関連の資格取得を目指してもいいでしょう。合格の有無だけでなく、学習の過程でさまざまな知識やスキル、情報を吸収することができるため役立ちます。
書類・面接対策を行う
異業種からITエンジニアに転職する場合、共通点や背景事情が少ないため、ITエンジニアを志望する理由が伝わらず、不採用になることがあります。
転職を成功させるためには、履歴書やエントリーシート、志望動機の書き方や、面接での質疑応答を研究し、異業種からITエンジニアに転職する理由を明確に伝えなければなりません。
ITエンジニアに転職する際の履歴書の書き方や、志望動機・自己PRの伝え方、面接対策に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
転職エージェントを活用する
異業種からITエンジニアに転職する際には、待遇や職場環境、将来性など、業務内容以外にも重視している目的があるのではないでしょうか?
自身が仕事に求めるものは何か、どんな生き方をしたいのかを明確にし、転職先で自分の目的が達成できるのかを見極めることが大切です。自身の転職目的や生き方を分析し、同時に転職先の公式サイトや採用情報、SNSを調べておきましょう
とはいえ、自己分析や企業研究、面接対策などを1人で行うのは限界があります。そのため、転職エージェントを上手に活用すると良いでしょう。IT業界に知見のある専任コンサルタントが、これまでの経験や多角的な視点をもって、ITエンジニアへの転職をサポートします。
「AchieveCareer(アチーヴキャリア)」では、静岡・愛知エリアを中心に、ITエンジニアへ転職したい方のサポートを行っております。エンジニア職や専門職の転職に強く、ITエンジニア出身の経験豊富なコンサルタントが、転職のご相談に無料で応じます。お気軽にご相談ください。
異業種からITエンジニアに転職する際に注意すべきこと
異業種からITエンジニアに転職する際は、事前に理解すべき注意点があります。転職のミスマッチを防ぐために、しっかりとチェックしておきましょう。
継続的な勉強が必要となる
異業種からITエンジニアに転職する場合、他の経験者に比べて、知識やスキル、経験の面で大きく遅れている状態です。ITエンジニアとして早く成長するためには、与えられた仕事を丁寧にこなし、謙虚に学ぼうとする意識が必要です。
また、IT業界は変化が激しく、知識・スキルの入れ替わりの速度も速いです。ITエンジニアとして長期的に活躍するためには、常に知識・スキルをアップデートし続ける必要があるでしょう。
ITエンジニアは、初心者やベテランといった立場に関係なく、継続的に学び続けなければならない職種であることは覚悟しなければなりません。
納期に追われることもある
勤務する企業や業務内容にもよりますが、ITエンジニアは基本的に納期に追われる状態が続きます。納期に追われて仕事を進めることが苦手な人や、期日までに成果を出すのが苦痛といった人にとっては、ストレスが強くかかる可能性があります。
毎回シビアに納期に追われるわけではありませんが、システムトラブルや急な仕事の依頼により業務量が増え、突発的に納期に追われる状態になることは覚悟しなければなりません。また、状況に合わせて業務の優先順位を変更するなど、臨機応変な対応も求められることもあります。
スピードが重要となる
異業種や未経験からITエンジニアを目指す場合、絶対ではありませんが、傾向として30歳が1つのボーダーラインになります。
ITエンジニアになるには、業界や職種特有の知識・スキルなど覚えることが多く、転職する際にも準備することが多いです。吸収力のある20代の採用ニーズが高く、事実として求人の数が多いIT系ベンチャー企業などでは、若手採用が中心となっている実情があります。
吸収力以外にも、30代以降になると現在の仕事の責任が増え、業務量も多くなる傾向にあります。そのため、20代と比べて転職活動に使える時間が少なくなってしまうこともあります。
ただし、あくまでも傾向であり、30歳を超えたからといってITエンジニアを目指せないことはありません。前述した通り、30代・40代でITエンジニアに転職した例も多数存在します。
総じて言えることは、異業種や未経験からITエンジニアに転職したい場合は、年齢に関係なく、スピード感を持って行動を起こすことが大切ということです。
まとめ
本記事では、異業種から未経験でITエンジニアに転職するために必要なことをお伝えしました。ITエンジニアの求人の間口は広く、さまざまな学習環境も整っているため、異業種からでも挑戦するチャンスは大いにあります。20代が中心ではあるものの、30代・40代でITエンジニアに転職している人も多くいます。
ITエンジニアは、将来性や待遇の面から人気の職種であり、現在も多くの人がチャレンジしている状況です。それでもまだまだ人手不足の状態であり、ITに関係する人材需要は2030年頃までは続くことが予想されています。
データや傾向としては売り手市場とはいえますが、業界や企業研究なしで転職を成功させることはできません。ITエンジニアは専門的な業種であり、個人で転職活動を行うのは大変な側面もあります。必要によっては、転職エージェントを活用することをおすすめします。
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